重粒子線治療の一部が保険適用になりました。
重粒子線治療には300万円かかります!だから先進医療保険にはいっておいたほうがいいですよ!
・・・というような医療保険の宣伝、見たことがありませんか。
保険用語がよくわからないまま保険の検討をするとハテナマークがたくさん点滅します。
このページでは、
ということについて考えてみます。
このサイトで以前説明した「先進医療は最先端の医療。というのはウソ。別物です。」もご参考に・・・
1.現在の健康保険制度の仕組み
まず、誤解しがちなのですが、
健康保険がきく治療は、安全性と効果が実証されていると 国が認めた 治療法です。
「この治療法は研究の結果一定の効果があることが認められ、副作用その他もハッキリした。安全性も確認されており、国としてオススメできる治療法だとわかった。だから、健康保険制度をつかって患者さんの経済的負担を少なくするから、この病気にかかったときはみんな、この治療法で治してもらうように!
という国のお墨付きがついているということなのです。
時々、健康保険適用の治療法は遅れているとかそういう説を目にします。確かにそういう面もあるかもしれませんが「安全性」という点において慎重になっているからなのではないでしょうか。
というわけで、保険適応の治療法はダサいわけでも古いわけでもなく、安全な治療法・おすすめな治療法なのです。
健康保険適用になるのは、国民におすすめできると国が判断した治療法。ですから、安全性や効果が証明された治療法です。
安全性や効果が証明された治療法のことを、お医者さんが使う言葉で「標準治療」といいます。
安心して進められる治療法だ、と医師が判断できるだけの十分なデータ(エビデンス)がそろっている、ということです。
国は、たくさんある治療法のうち、「どれを健康保険適用の治療法にするか」「どれを健康保険適用からはずすか」ということを常に調査しています。
当然基準は、安全であること・効果があることです。
2.先進医療は「最先端の医療」ではありません
健康保険適用にする、ということは全国民におすすめできる治療法ということですから慎重に検討を重ねているものと思われます。
健康保険適用になっていないたくさんの治療法のうち、「そろそろ健康保険適用にしてもいいか?」という検討段階に入ってきている治療法が 先進医療 です。
こんなイメージです↓
先進医療は最先端の医療ではなく、保険適用になる一歩手前の治療法、です。
本来、自由診療は混合診療が認められていません。つまり、保険治療と自由診療はミックスして治療を受けることができないのです。
けれど、先進医療として厚生労働省が認めたものに限っては保険診療との混合治療を認めようというのが先進医療制度の概要です。
具体的な治療法の概要と治療法リストについては厚生労働省のホームページで公開されています。
3.標準治療・並みの治療という意味ではない
標準治療というのは標準的にみなさんにおすすめできる治療法、安全性と効果が確かめられている治療法という意味です。
「標準」という言葉から、「並」のイメージを持ってしまい、松竹梅の”松”的なフツーの治療法だと思ってしまいがちですがそうではなく、副作用・効果の点からいってもこの症状にはコレ、みたいな感じで標準な安心して使える治療法だと解釈するべきだとおもいます。
4.重粒子線治療の一部が保険適用になりました、というニュース
1.~3.までの一読いただいて、本来のテーマである「重粒子線治療の一部が保険適用になりました」というニュースを考えてみます。
これは、
保険適用するかどうか検討段階に入った治療法として厚生労働省が認定している「先進医療」のひとつである「重粒子線治療」ですが、 その一部について、健康保険適用となることが決定しました。 先進医療が保険適用となるには、安全性が高く、効果がはっきりしていることと、一般の患者さんが治療を受けやすいかどうかという点についても検討されるのですが、重粒子線治療が日帰りでも行えるようになったことから、今回の一部保険適用となったものです。
こちらのページにわかりやすく説明してありました↓
まとめ
先進医療・標準治療・保険適用、と何も知らずに聞くとなぜか、「先進医療ってスゴイ治療法」と思ってしまいますが、スゴさでいえば、保険適用になっている標準治療のほうが安全性・効果の点ではずっと上。
言葉の持つイメージに惑わされず、本当の意味を知っておくといいでしょう。