先進医療は「最先端の医療」という意味ではない。
先進医療も保障します、と保険会社のCMで流されると、
「最先端の医療行為についても保障してくれるんだ!いい保険だなぁ!!」
ってつい思ってしまいます。
でも、それ、違います。先進医療は保険医療用語 なんです。ちゃんと知っておきましょう。
厚生労働省が定めたものが先進医療
先進医療は、
現在は健康保険の対象外の治療方法だけど、
今後は保険対象の治療法とするかどうかを見極める段階にある治療方法。
本来であれば健康保険対象外の自由診療の治療は、
保険診療の治療と一緒に受けることはできないけれど、
この先進医療に限っては一緒に受けてもいいこととする。
また、どれを先進医療とするかについては厚生労働大臣が定める。
というような治療方法のことを指します。
更にこの治療方法は どこの医療機関でも受けられるというものではありません。
これまた、厚生労働大臣が定めた医療機関で受けなくてはならない というキマリもあります。
先進医療とは。
先進医療は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として、厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。 具体的には、有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとしたものです。
なお、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、未だ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等と保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。by 厚生労働省
つまり、先進医療を受けるのはかなりレアなケース
ということが推測できます。
では実際に年間どれくらい先進医療を受けたケースがあるのか?
平成23年の資料ですが、厚生労働省のWebサイトの中に、こんな資料を見つけました。
平成23年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について
平成23年度 ( 平成22年7月1日~平成23年6月30日 ) の一年間に、
実施されていた先進医療の全患者数は14,505人です。
そのうち、件数的に多いのは「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で3,187件。
いわゆる白内障の手術で遠近両用眼内レンズの手術のことです。片目で約30万円ほどの手術です。
その次に多いのは内視鏡的大腸粘膜下層剥離術で3,006件。
大腸内の内視鏡手術のひとつで、某私大系病院では154,810円とのことでした。
保険会社のパンフレットでよくみかける重粒子線治療(がん)は314万円ですが、
年間の治療件数は873件。
陽子線治療は 280万円で、年間の治療件数は1,508件でした。(いずれも平成23年のレポート)
ちなみに厚生労働省の平成23年度患者調査によると、
平成23年度に全国津々浦々の病院に入院した患者の数は1,341,000人です。
※よくパンフレットで説明されている先進医療のひとつ、「陽子線治療」は、
- 千葉県 国立がん研究センター東病院
- 兵庫県 兵庫県立粒子線医療センター
- 静岡県 静岡県立静岡がんセンター
- 茨城県 筑波大学附属病院
- 福島県 財団法人 脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センター
- 鹿児島県 財団法人メディポリス医学研究財団 がん粒子線治療研究センター
- 福井県 福井県立病院
- 愛知県 名古屋市立西部医療センター
- 北海道 北海道大学病院
のどこかで治療をうけなくては「先進医療」になりません。
詳しくはコチラ→厚生労働省 「先進医療を実施している医療機関一覧」
ちなみに、ガンについていうと健康保健対象外の
高濃度ビタミンC点滴療法とか、免疫療法とか色々な治療方法がありますが
これらは先進医療ではないので、医療保険でフォローされることはありません。
月100円の掛け金だけど、、
医療保険には「先進医療特約」がついているものがとっても多いです。
その賭け金は毎月100円程度です。
安いですよね。
でも、安いということは、保険会社が保険金を支払うケースが少ない、ということです。
ほんとに医療保険って難しいです。
CMの雰囲気で掛けていると損しそうです。
無料の保険相談を利用するのもひとつの方法ですが、利用するにしても
保険に加入すること前提で相談しないこと!!情報収集をするのだという姿勢で臨むのがいいと思います。